取付ブログ
続・お客様の質問にお答えして 第13話
2024-07-07
不定期シリーズのお客様の質問にお答えするは、第三シリーズの13回目となりました。
最近のお客様から1980年代からのお客様まで、これまで幅広く店頭で耳にした質門にお応えしています。
その中でこれまで最も多かったのが、
「サウンドピュアディオはタイムアライメントは使わないと言われていますが、
タイムアライメントにも対応したらもっと多くのお客さんを集める事が出来るのではないですか?」
という質問です。
毎週『タイムアライメントは調整の最初から最後まで全てゼロです。』とブログに書き込んでいて、
いつからタイムアライメントを使わなくなったというと、
タイムアライメントが登場した1990年代の中頃は一時期はタイムアライメントは使っていました。
しかし当時はまだセミプロ用のホーム用スピーカーを市販で手に入れる事が出来た時期で、
その様な設備を自宅に持っておられるお客様から、
「何だか音色がおかしい?」という声が聞かれる様になって、
もう一つ「運転席に時定数を合わせているから助手席に乗った時の音がとんでもなくおかしい。」という声も
聞かれる様になって、自然にタイムアライメントから離れてきました。
ただ90年台からカーオーディオのコンテストが盛んになって来て、
その中の審査項目で定位というのが重視されたり、
タイムアライメントがかかっていないといけないコンテストなどがあり、
一気に業界の中でタイムアライメントが主導権を握りました。
そんな業界の流れとは別に、
1980年代からサウンドピュアディオと名乗る前のオーディオボックスの時から
スタジオのプロ機の様な音という流れがあって、
今では入手出来ない様なセミプロ機を自宅に持たれているお客様も多くて、
どうしてもタイムアライメントには馴染めず、約30年今のスタイルを貫いて、
2001年にサウンドピュアディオと改名して、自社ブランドのスピーカーを発売する事になりました。
1999年には販売したいスピーカーがほぼ市場から姿を消してしまい、
買いだめしたスピーカーが底をつきかけた時に、
スタジオで使っている様なスピーカーの材質や構造をカー用に変換したスピーカーを販売するという、
1つの転換期になりました。
ただ自社物のスピーカーを発売して、最も売れたのは発売から半年で、
当時は2000年以前に販売した13センチスピーカーが使い込んで限界に来ているお客様が多くおられて、
その代わりのユニットが無いという事で、爆発的なセールスを記録しました。
その一方で業界はタイムアライメントに合わせたスピーカーが主流になっていて、
新しいお客様を獲得するのはかなり難がありましたが、
たまたまその頃にアーティストのファンクラブに入っていて、
ファンクラブイベントで本人の生声を知っている方が3人続けて来店されて、
「本人の様な声で聴きたい。」というご要望があって、
そのアーティストさんに会って生の声を聞くためにFMラジオのスポンサー活動を始めて、
番組制作を通じて多くのボーカリストの生声を聞ける様になりました。
これはこれまで一般的なカーオーディオには興味が無いが、
もしそんな音が出るシステムがあったら欲しいという市場がある事に気が付きました。
そういうお客様は耳の錯覚を利用した音は一切受け付けてもらえず、
自社のスピーカーは認めてもらえても電源キャパシタやロジュームメッキの端子など、
音を強調するパーツの販売を当時は行っていたのが、そういったパーツの販売を辞めるという、
売り上げが上がるパーツを辞めないと本物の声には近づかないと、
一般のお客様にデモすれば売れる物の販売を辞めるという方針に持って行きました。
そんなタイムアライメント・タイムディレイ・タイムコレクションとは無縁のビジネスをやっていて、
たまにお客様から「そういうジャンルにも対応してみたら?」という声に、
先週自分のセレナで昨日のブログで書いた様に久々にチャレンジしてみました。
アルパインのビッグXのタイムコレクション機能を使って、
一番自分に遠い左後ろのスピーカーをゼロで起点にして、そこから他の3カ所に時間の遅れを入れて行くと、
驚くほどステージングが良くなり、目の前でボーカルが歌っている感じがして、
一瞬「こういう音造りも良いかも?」と思いながらも、
自分はこれまで3・40回実際に会った事のあるボーカリストの声は、
「何だか違う?」と思い出して、もう1度全てゼロにしたら・・
耳が幻惑されて最初のセッティングでは音が物足りなく聴こえる様になりました。
それでその日の調整はやめて、後日改めて音調整する事になったというのが、
昨日のセレナのブログに書かれた事をもっと詳細にして書き込みました。
以前にも5年に1度ぐらいは時定数をいじるセッティングに挑戦はしていましたが、
これは明らかにジャンルが違っていて、
あまりにタイムアライメントのジャンルが業界で主導権を持ち過ぎているので、
サウンドピュアディオのやっている事が少数派から絶滅危惧種まで数が減って来ていて、
まるで変人の様な扱いですが、実はこれが本来の音楽のあるべき姿です。
これまで何人かオーディオメーカーのデモカーを聴いて、
メーカーのホームページで褒めているボーカリストの方から、
「今のカーオーディオは間違っている!あのタイムアライメントはやめないと行けない!」
とお叱りを頂きましたが、自分がタイムアライメントを一切使わない方式とは知らずに、
全国全てのカーオーディオショップの音造りが間違っていると思われていて、
いくら「自分が違うからデモカーを聴いて欲しい!」と言っても聞く耳を持たないという感じでした。
まあ、心の中で「そんなに悪いと思うのなら、メーカーの人間に直接言えよ!」と思い、
小さなショップの人間なら後のビジネスで影響があまり無いから一発かましとけ!
みたいな感じに悲しくなりました。
もし自分が逆の立場なら、お金を返して「これは良いとは言えません!」と言いたいところですが・・
残念な事にアーティストの方と交流出来るショップが日本で当店だけで、
本当のボーカルの声が分かっているのも当店だけなので、
日本中に自分がファンクラブに入っているボーカルの声に近く出来るショップが無い事は非常に残念で、
良い事をしているのに変わり者扱いというのが現状です。
これまで多くのお客様から
「コンテストに出せる様な車を一時的に作ってトロフィーを取って欲しい。」という声もありましたが、
今の音造りを行うのに他のジャンルの違う音造りをすると、耳が幻惑されて本来の音造りが出来なくなるので、
選択と集中という事で今のサウンドピュアディオのスタイルが形成されています。