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取付ブログ

お客様の質問にお答えして 第4話

2021-07-01
今日は昨日の書き込みの続きをお届け致します。



ここ1・2年サウンドピュアディオの音が良くなって来た理由に4桁表記のピュアコンを作るために
コンデンサのペアリングの精度を上げるために大量購入をやめて、コストがかかっても少量購入に変えて、
その時の工場の生産ロットの状況を読むというのと、ハンダ付けのクリップの数をこれまでより増やして
コンデンサに熱が極力伝わらない様に工夫するなどの事を書き込みました。



その根源は純正オーディオ側に制限が多くなって、前の車で十分音が良かったが、
アフター側でこれまで以上のクオリティーを出さないと前の音にはならないというお話でした。



近年バス・トレブルしか付いていない純正オーディオに、DSP付きのアンプを付ける事で
音質改良と言われていますが、サウンドピュアディオではDSPアンプにスピーカー出力を入れて、
プリレベルに下げる時のロスで音がくすんだのをイコライザーで持ち上げるという事を
良い事だと思っていなくて、またモデルによってはDSPがバグってイコライザーが知らない間に
フラットになっているなどもあって、このDSPアンプを推奨していません。



さてここまでは前置きで、ここからはお客様の「社長が無線を再開されてから音が良くなった様な
気がしますが?」というご質問を沢山頂いておりますが、一昨年の10月に37年間やめていた
アマチュア無線を再開して、更に知らない間にデジタル簡易無線という資格がなくても
5ワット送信出来る無線が許可されていて、現在中学生や高校生の時みたいな無線の工作を始めました。



ここからはかなり長くなりますが、動作原理が分からなくても詳しい事を書かれたら雰囲気で
何となく分かるので是非書いて下さいというお言葉に甘えて難しい話を書かせて頂きます。



元をたどれば中学・高校の時は自宅の他に自転車で移動して無線をしていて、
その時使っていた周波数は145メガと51メガと28メガの3波でした。



145メガの4分の1波長は約50センチで自転車で使うのには問題無いのですが、
これではあまり遠くまで飛びません。



これを8分の5波長の125センチぐらいになるとかなり飛びが良くなって、
更にその根元に位相反転コイルを上手い事利用すれば約150センチ必要な51メガの4分の1波長と
兼用出来て、その両方でマッチングさせるためにコイル巻きにはまりました。



もう1つの28メガは4分の1波長で260センチ必要で、これは自転車に付ける訳にはいかないので、
根元にかなり巻き数の多いコイルを巻いて120センチぐらいでマッチングが取れる様に工夫しました。



ちなみにコイルを巻いてマッチングを取ると、エレメントの長さとコイルを巻いた長さが
トータルで260センチではマッチングが取れず、たった3つの周波数に合わせるだけで
中学・高校の6年間ぐらいあーでもない、こーでもないと、何の勉強の役に立たない事をやっていました。



そのぐらい本当にマッチングするコイルを作るのは大変な事なので、
1990年代にカーオーディオでオリジナルネットワークを作る密かなブームがあった時は、
お客様から「関西の店みたいにコイルを巻いてネットワークを作って下さい。」と言われても、
「うちはマルチアンプでやるので、ネットワークは作りません。」と丁重にお断りました。



ある日お客様数人と一緒に関西のカーオーディオイベントに行った時に、
もう営業されていないお店ですが、オリジナルネットワークでフロント2WAYだけでも素晴らしい音を
鳴らしている音をお客様が聴かれて、「井川さん、もうそろそろネットワークを作りませんか?」
と言われて、しぶしぶネットワークの開発にかかりました。



ただネットワークの悪い所は材料費が沢山かかる割に売れるのは1セットか2セットだと採算が合わず、
納得出来る物が出来るまで時間がかかり、ビジネスとしては魅力的なものではありませんでした。



ただ中学・高校とコイル作りではバカみたいに夢中になっていた人間なので、
あっという間にお客様は褒めていた関西のお店を上回る音が表現出来る様になって、
ネットワークのパーツをブロック化して自由に組み合わせられるピュアコン方式を考案して、
ビジネス的にも採算が合うスタイルを構築出来ました。



お客様に関西のお店よりも音が良いと言われる根源はアマチュア無線で培ったコイル巻き技術だけでなく、
26歳の時に1年間FM山口で音楽番組を製作していて、その時に聴いたスタジオ用のプロ機の音が
頭の中に残っていて、その経験が普通のカーオーディオショップとは違う部分でしょう。



そのFM山口で番組を作るきっかけになったのが、高校を卒業して1年後にディスコという物を知って、
これが面白くて無線どころではなくなって、無線はやめてしまいディスコでノンストップミックスの音楽に
ひたっていました。



ただノンストップミックスを聴いているだけでは満足出来ず、自分でレコードプレイヤーを2台と
ミキサーを買ってノンストップミックスを作っていたら、それをどこかで披露したいとパーディー会場の
DJなどをする様になって、それだけでは我慢出来ずに開局したばかりのFM山口の番組として
多くの人に聴いてもらおうと企画しました。



後で考えてみたら高校時代にアマチュア無線の3級・2級の試験を受けて合格して、
無線工学と電波法の他にモールス信号の送受信の試験があって、その試験に合格するために
モールスの早打ち・早聞きを練習するうちにタイミングを掴むのが上手くなって、
それが曲間をつなぐタイミングの習得に知らないうちにつながっていました。



だから自分がアマチュア無線をしていなくて、上級試験に合格したり、コイル巻きに没頭していなかったら
サウンドピュアディオの今の音造りは無かったでしょう。



そして時は2019年の9月になり、千葉にこれまで想像もしなかった大規模な台風がやって来て、
電力や通信網が絶たれてしまってスマートフォンもパソコンも全く使えなくなったという話が
テレビから流れて来ました。



その台風で孤立した地域でアマチュア無線を使って外部との通信が出来たという話を聞いて、
山口県や福岡県もこれから何が起こるか分からないからと、アマチュア無線機を買って、
切れていた無線局の免許も再交付して、趣味の無線を初めて非常時に備える事にしました。



ところがアマチュア無線を再び初めて知ったのが、自分が中学・高校の時に
145メガの8分の5波長のアンテナの位相反転コイルを利用して51メガの4分の1波長に
同調させるどころの話ではなくなっていて、433メガと145メガと51メガと28メガの4波に
同調とかいう技術が確立されていて、まるで浦島太郎状態でした。



とりあえず福岡のマンションのベランダに145メガで8分の6波長で、
433メガで8分の5波長3段のアンテナを買って取り付けて、「8分の6波長って何に?」
と自分の知らない同調の仕方のアンテナにビックリしました。



しかしベランダに付けた日に145メガで福岡市南区と久留米市の交信を聞いたら、
近い方の南区の電波が聞こえないではありませんか。



そこで取り付けているポールを3メートル離れた方に付け替えたら、
今度は南区が聞こえて久留米市が聞こえなくなって、
これはコンクリートの中の鉄筋の影響を受けているんだなと思って、
アンテナのサイズを小さくして前に突き出して鉄筋の影響を受け難い様にしたら
均等に電波を受ける様になりました。



これってサウンドピュアディオがピラーにツイーターを埋め込まないのと同じで・・



ツイーターの場合はマグネットから出ている磁力線が鉄の影響でねじれて、
スムーズに高音が再生されないのと同じだと思って、電磁波と磁気と音波と微妙に違っていても
技術の根源は同じ所になると思います。



無線を始めたら中の良い人も何人か出来て来て、その中の一人の方がテレビ局にお勤めで、
「そちらの局のWBSのスポンサーに一時期なっていたんですよ。」と話してから特に仲良くなって、
で1年ちょっとで勤務が大阪に変わってしまい、145メガでは話が出来なくなりました。



そこで考えたのが自分がこれまで使った事がない7メガという電離層反射で遠くまで飛ぶという周波数で、
車載アンテナを2本つないで固定アンテナにするという材料を買って組み立ててみました。



ところがこれが測定上で上手くマッチングが取れないんですよ。



同軸ケーブルをバランという平行線2本に変えるアダプターを付けて分配しても、
何だかハイパワー送信すると無線機が発熱して痛めそうな気がするので、これは使えないと調べてみたら・・



車載アンテナのプラスとマイナスのプラス側だけに接続しても、その間に計測すると500pFの
静電容量があって、左右のエレメントが500pF2つを介して繋がっていて、
これでは良いマッチングが取れないはずです。



そこで考え方を変えて、本来の使い方の垂直にエレメントを立てて、
同軸ケーブルで直接接続して、もう1本を水平からやや斜め下に向けて、
プラス側を相手のマイナスに落として、500pFは完全に短絡させてマッチングを取りました。



理想はインピーダンスが50ΩのSWRが1・5以下が、下のエレメントが水平で
インピーダンスが40ΩのSWRが1・9だったのが・・



エレメントを斜め下に向けたらインピーダンス45オームで、SWRが1・65ぐらいで、
無線機側にコイルと可変コンデンサ2個を使ったアンテナチューナーを使って理想の送りと受けに
合わせる予定が・・



アンテナをガレージの屋根に載せた時に、その前のアンテナで使っていたアース線が何本も付いている物を
「ある物は付けておこう。」と付けたのが間違いで、しかも下に降りて測定器をかけて振れ方がおかしいと
気付きました。



付けたらいいという物を何でも付ければマッチングが取れなくなるというのはカーオーディオも同じで、
例えば静電容量を利用して音を良くするパーツと、静電気を除去して音を良くするパーツを同時に付けると
音がよじれて聴こえる様なもので、何でこんな簡単な事に気が付かなかったのかと反省しました。



それから数日後の夕方に再びガレージの屋根に上がって、多重のアース線を外してマッチングを取りました。



他には写真はありませんが433メガと145メガと51メガ28メガの4波が同調するアンテナがあって、
これが下の方の周波数がなかなかマッチングが取れず、51メガが合えば28メガが合わず、
28メガが合えば51メガが合わないを繰り返していて、知恵を絞って4波全てピッタリ合わせる事に
成功しました。



その直ぐ後にBMW740eの調整を行って、これまでの調整とは違う音のツボで調整したら、
今まで「これ以上は無理!」と思っていた音を越える正確な音の表現が出来る様になりました。



つまりオーディオだけであれこれとチューンしてもある程度の所で行き詰っていて、
それが周波数は千倍とか1万倍とかで実験すると、また違う視点でマッチングを取るという発想が出て来て、
そこにちょうど15年以上使ったZSPスピーカーのマッチングを今の状態に合わせるという発想になって、
お客様から「これまでで一番良い音になった!」と言われる根源となっています。



4月に技術に関わる社員を集めて、無線工学の先生を迎えて勉強会を2回行ったのですが、
やはり実際に電波を出して実験しないと技術の根っこの根っこは分からない様な気がします。



最後まで読まれた方、長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。



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