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取付ブログ

BOSEのトレードインスピーカーについて

2022-12-16
一昨日納車させて頂いた三菱のEKクロスのオーナーの方とのお話の中で、
「BOSEのトレードインスピーカーの話が良かったので、動画で流したらどうですか?」と言われました。



ただ自分は動画制作はしていないので、いつもの様にブログの文章でその内容を掲載させて頂きます。



EKクロスの作業ブログと若干内容が重複しますが、ご容赦下さい。



1990年代はまた当店はサウンドピュアディオではなく『オーディオボックス』と名乗っていて、
当時は今と違って音に変なクセというか、絞り込みがされていないユニットが多く、
ピュアコンはトレードインスピーカーのツイーターの下限周波数をカットするだけで、
ミッドの上限周波数は垂れ流しで、更にパーツも貧弱な物で、
そこをピュアコンに変えてクオリティーを上げて、
垂れ流しのミッドの上限を適切にコントロールすると驚く様な綺麗な音で音楽を奏でるという、
爆発的なヒットアイテムとなっていました。



ところが1997年ぐらいから国産のトレードインスピーカーに音にクセが付いた物ばかり
発売される様になり、輸入品のBOSE社のトレードインスピーカーを主に販売する様に変えて行きました。



その中で最も販売数が多かったのが16センチサイズのミッドに大型ツイーターの1060Ⅱで、
初期モデルの1060よりも耐久力がアップして、かなりのロングランモデルとなりました。



それでいて価格が29800円と買いやすく、10年ぐらいの長いスパンで販売出来ました。



後に国産トレードインが17センチに移行して来て、
BOSEも1070という17センチミッドのモデルを発売して、BOSEのエンブレムも付属して、
中が見えなくてもBOSEのスピーカーが付いていると誇れるモデルでした。



BOSEのトレードインスピーカーが国産品を大きく引き離していたのはツイーターの大きさで、
これを聴いてしまうと国産トレードインは周波数レンジが狭くて物足りなく感じていた方も多いと思います。



2000年代の初頭にはBOSE社は市販のショップ向けの製品はやめて、
自動車メーカーの工場装着のいわゆるプレミアムサウンド車でないと
BOSEサウンドは聴けないという事になり、当社は長年扱って来た最多販売の商品を失う事になり、
他に代わる商品を探してJBLの輸入元のハーマンインターナショナルと交渉したり、
ピュアディオブランドの準備も始めて、JBLと自社物の2本立てという販売スタイルを確立しました。



このBOSE社が市販のトレードインスピーカーをやめる前に、
1998年から2000年にかけて自動車メーカー2社から話があって、
プレミアムサウンド車の試作をやってみないかという事で、是非という事で試作車を作るお手伝いをしました。



2社ともBOSEの1060Ⅱにピュアコンと専用のスピーカーケーブルを使うという物で、
ノーマルの1060Ⅱはツイーターの下限は制限しているものの、ミッドの上限は制限無しのフルレンジで、
同じ周波数が広い範囲で重なっていて、違う向きで同じ周波数がぶつかって
音がキャンセルされている部分が多く、体感音圧が薄く感じる所を、
適切なクロスポイントの選択で音質も音圧もバランスが良いという試作車が出来上がりました。



ただ試作車は作ったものの、
音の出来栄えが良くても純正オプションにはそれは採用出来ないという話になって、
理由の1つはツイーターが出っ張っているので、これをどこかにしまって欲しいという話で、
これは音質上無理ですという話で、
2つ目はコストをもっと下げたいのでコンデンサの左右のペアリングをやめるのと、
コイルの銅線を細くして今ほどの精度を求めなくても大丈夫だろうという事と、
3つめにケーブルのコストが高いのでもっと細くて安い物に出来ないかという話で、
全ての条件を飲んだら結局いつもの純正のプレミアムサウンドで、
あくまでこういう事をしたらこのぐらい音が良くなるという実験だけに終わりました。



このメーカー2社に「どうしてうちの会社を選んだのですか?」と聞いたといころ、
どちらとも「カーオーディオの専門誌でない普通の自動車雑誌の編集部に、
日本で一番音の良いカーオーディオ専門店はどこか?と尋ねたらそちらの名前が出て来た。」という
答えが返って来ました。



確かにカーオーディオ専門誌だと当社より有名な店は沢山ありますが、
ツイーター以外の部分ではフォルムを変えないというのも選ばれた一つの要素でしたが、
ツイーターの位置だけはどうしても譲られず、
現在ではカロッツェリアの車種別の専用のツイーターのマウントが、
よく見たらピュアディオが長年推奨している角度によく似ているな?と思う様に、
この位置は高音質の肝なので変える事が出来ませんでした。



そんなBOSEの1060Ⅱを使った試作車を作ってから
1・2年でBOSEは自動車メーカー向けしかカー用のユニットを出さないという話になって、
今考えると自分で自分の首を絞める様な事をしてしまいましたが、
その一方で自動車メーカーが今後プレミアムサウンド車を増やして
アフターマーケットを潰そうという意気込みも分かり、その対策を事前に打つ事が出来て、
それはそれで助かりました。



BOSEの1060Ⅱや1070はそれなりに買いだめはしていましたが、
何か月後には物が無くなるためにハーマンインターナショナルのカー事業部と交渉して、
当時のJBLのトレードインスピーカーはツイーターの大きさが小さかったので、
中級グレードのツイーターとトレードインのミッドの独自の組み合わせで販売したいと申し出たところ
一度は断られて、2度目には「サウンドピュアディオさんという組織を良く知りませんでした。」という事で、
こちらの要望の単品ユニットの組み合わせで大量購入するという事で、
ユニットをバラバラで自由に選べるチョイスを可能にしてヒット商品となりました。



このBOSEからJBLに切り替えた時期に、
ちょうど自動車メーカーの3年プラス車検時に追加で2年プラスの合計5年保証というシステムが普及して、
純正スピーカーのサプライヤーは5年以上確実に持つ耐久性というのが求められて、
へたすると耐久性は国産のトレードインスピーカーよりあるぐらいになり、
その分見た目はもっと質素になって、豪華な見た目の国産のトレードインスピーカーと替えるメリットは
全く無くなって来ました。



そこで純正ドアスピーカーはそのままで、
ツイーターを豪華な物を使うという『ベーシックパッケージ』が世の中から必要とされるのでは?と考えて、
輸入トレードインスピーカー主流から、ベーシックパッケージを主流にビジネスの舵を切る事になりました。



ここで話しは少し前に戻って、自動車メーカーはなぜここまでプレミアムサウンドに力を入れて
アフターマーケットを潰そうかと考えていたかというと理由は二つあって、
1つは大手カー用品店2社の車検を取りディーラーの売り上げを下げているという事に対する報復で、
こちらとしては完全なとばっちりなのですが、これはどうにもなりません。



もう一つはカーオーディオ業界やカスタマイズ業界のド派手なクルマいじりで、
ディーラー系の中古車センターに並べられず、アンダーグラウンドな世界でしか流通出来ない車を作るのは
けしからんと、アフターでいじりにくい、もしくはいじれない車を作るという方向にメーカーが進んでいて、
これはアフターパーツの業界が自分で自分の首を絞めているとしか思えず、
ピュアディオでは逆に『ドアスピーカーを交換しなくても良い音で音楽を聴ける!』を
主力にせざるを得なかったというぐらい業界は劇変しました。



ただここで役立ったのは自動車メーカーの試作車を作ったというノウハウで、
試作の段階ではこのぐらいコストをかけていたのを、
量産の手前でここをこのぐらい削られていないか?という予測をして、
逆に削られたであろう部分をプラスして、ツイーターのマウントの自由度でもっと理想的な音を求めれば、
このベーシックパッケージの計画はお客様に受け入れられるのではないだろうか?という考えのもと
進めて行きました。



このベーシック計画の到達点はベーシックパッケージを取り付けた車が世に多く走るという事だけでなく、
中古車市場にベーシックパッケージを取り付けた車が流通するという、
買取業者の価格がベーシックに対してプラスオンのお店が出て来るというのが最終的な目的でした。



全ての買取店ではありませんが、最近ではベーシックパッケージを付けたままにしておいて欲しい、
上乗せ価格で買い取りますというお店も出て来て、「中古車を買ったら音が良かった!」と
お客様に喜ばれたと、当店にお店からお礼のメールを頂いた事もありました。



この中古車市場で人気になるというのは並大抵の事ではなくて、
サウンドピュアディオが関係しているFMのラジオ番組が店頭で流れているお店で
買取価格がプラスオンというお話はよく聞く様になりました。



ごく一部のマニア層の評価ではなくて、
FM放送を通じて広く多くの方にサウンドピュアディオの音の良さを知って頂くのと、
放送事業を通じてアーティストさんの音楽活動を応援するという事で、生音・生声に触れて、
シンプルなシステムでも正確な音色で音楽を聴けるというメリットを多くの方に知って頂き、
それが中古車市場でのプラスの魅力に繋げる事が出来ました。



最初はBOSEのトレードインスピーカーの話でしたが、後半がベーシックパッケージの話に変わったのが、
今回代車にお出しした先代の日産デイズのベーシックの音が、
「とても純正のドアスピーカーを使っているとは思えない!」と驚いておられたのもあって、
なぜベーシックパッケージが生まれたかという話のスタートは、
実はBOSEのトレードインスピーカーがルーツだったという、一つのストーリーになっていたからでした。



そんなお話をEKクロスを納車させて頂いた時に話していて、
「これは是非多くの人に知って欲しい!」という事で今日掲載させて頂きました。



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