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取付ブログ

続・お客様の質問にお答えして 第2話

2024-02-24
お客様の質問にお答えするシリーズも第三弾となって、初期の頃に比べると時代が変わって来ているので、
旧シリーズでは少し実態に合わない部分も出て来ているので、そこで続シリーズを始めました。



最近店頭でお客様から頂くご質問で、
「ロシアのウクライナ侵攻の影響で材料が高くなったとか、
精度の高い材質が手に入り難いとか以前書かれていましたが、今はどうなんでしょうか?」という事は
良く聞かれます。



もう丸2年となり材料不足や材料の値段が上がりながらも、
極力お客様が支払われる代金が上がらない様に日々努力をして、
他メーカーのホームページに良くある『価格変更のお知らせ』とならない努力を行っています。



今一番値上がりしているのは精度の高いハンダで、
自分は日々の作業でこぼれた銀入りハンダの粒を集めて再生して使っています。



再生して使うといってもそのまま粒を使う訳ではなくて、
370度に熱したハンダ炉で一度溶かしてから再生しています。



熱して行くと純度の高い部分が浮き出て来るので、ここをすくってビールの一番搾り的に使っていますが、
それでもハンダの純度の4段階うちの下から2番目で使っています。



他にはしばらくして上に純度の低い部分の幕が出来たらそれをすくい取って・・



そこから抽出して絞ったハンダがこのマスコットみたいな塊です。



あまりに可愛いのでこれを溶かして使うのは酷な様ですが、
この子たちを溶かす時は
「本当は溶かしたくないけど、プーチンが悪いので精度の高いハンダが軍用で持って行かれるので
許して下さい。」みたいに祈りながら溶かしています。



純度の高い部分を搾り取ったカスと言ってもまだハンダ成分は残っていますが、
このぐらいになったら廃棄します。



この炉は本来はPMBやSKY3の銅線がエナメルで絶縁してあるのを焼き切るための炉で・・



370度の中に浸けて全ての本数が焼けながらも焼き過ぎて外の線が焼け落ちない様に工夫して、
ギリギリの見極めで神業的に音を良くして行きます。



ただ最近ではロシアや中東の軍事用で高価なハンダが無くなるだけでなく、
東電の処理水の海洋廃棄に抗議して、中国が純度の高い錫の日本への輸出制限を行っているために、
純度の高いハンダを安定して使うというのはかなり難しくなって来ています。



これだけでなく今困っているのは精度の高いコンデンサの入手が難しくなっていて、
当社では入荷したコンデンサを全て高度な測定器で計測して、
4桁の数字を貼ってストックして左右のペアリングを行っているのが、
1マイクロちょうどぐらいのコンデンサが極端に入手出来なくなっています。



どうも1マイクロちょうど位の値が軍事用の何かを作る時の測定器に必要だという話があって、
事前に高い値段で抜き取って買って行くので、一般にはちょうどの値が手に入らないという噂があります。



現に大量に入手してもストックはご覧の通りで、
1マイクロちょうどが必要な車が入って来たら困っていました。



しかし0・47マイクロ2個と小さめのコンデンサ1個の合計3個で1マイクロを作ると、
接点ロスやハンダの熱で1マイクロ1個よりも音質が落ちないために、
合計12個の放熱クリップを使って高音質を維持しています。



このクリップのバネはけっこう強くて、12本の付け外して合計24回クリップを握ると、
けっこう肩が凝って来ます。



それでも音質を落とさないために努力しているのと、それでもコストはやや高くなるのですが、
そこは値上げしなくてそのままの価格で販売しているという、戦争の影響でかなりの苦労を強いられていて、
自分もプーチンと我慢比べしていると言っても過言ではないでしょう。



日々の生音・生声に近いセッティングでの納車の裏には、
こうした苦痛を伴うとでもいう様な苦労の上に良い音が出来上がっています。



ただ戦争が終わればこれだけの苦労も無いのですが、いつになったらこの戦争は終わるのでしょうか?



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